ふたたび三池炭鉱をめぐって

Yumat2012-04-16

前回の三池炭鉱の報告書に関連して書いた短文二つが、印刷完了しました。


一つ目は『日仏社会学会年報』に書いた「産業遺産と文化のグローバル化」。これは去年の11月にパリの社会科学高等研究院(EHESS)で行われた日仏研究会での発表を論文にしたものです。
http://reposit.lib.kumamoto-u.ac.jp/handle/2298/24650

「なぜ炭鉱施設の残骸が世界遺産(候補)に?」という疑問を追求してゆくと、ユネスコの変化が背景にあることがわかります。文化的多様性の保護という理念のもと、ユネスコ世界遺産の種別を拡張したことが、それまで世界遺産と無縁であった九州各地の都市に、その可能性を開いたのでした。そこでこの論文では、三池炭鉱遺構の世界遺産化運動を事例に、グローバル(ユネスコ)・ナショナル(国)・リージョナル(地方自治体)・そしてローカル(元炭鉱関係者・市民団体・市民)の各次元の相互関連として進行する文化のグローバル化のプロセスを論じました。


二つ目は雑誌『世界思想』39号に書いた「きたないはきれい―近代の廃墟の遺産化/審美化をめぐって」。特集テーマ「感性」に合わせて、炭鉱遺構が遺産化されたり、工場が審美的対象となる―「工場萌え」のように―事態について、近代の廃墟をめぐる完成の変化として論じました。
http://www.sekaishisosha.co.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&code=939_leaflet


あともう一つ、これは一カ月先の話ですが、5月20日に鹿児島大学で行われる西日本社会学会大会のシンポジウムで、「記憶と遺産の間―三池炭鉱の場合」と題して話をします。

http://www2.lit.kyushu-u.ac.jp/~sociowest/taikai/index.html