シンポジウムのお知らせ

5月20日に行われる西日本社会学会大会シンポジウムのお知らせです。文化の資源化についてお話しする予定です。


日時:5月20日(日)13:30ー16:30
場所:九州大学 箱崎キャンパス文系地区 共通講義棟 102教室

シンポジウムのタイトル 観光の社会的効果へのアプローチ

司会 谷富夫(甲南大学

報告者
第1報告 松浦雄介(熊本大学) 文化を資源化する社会――文化遺産の活用をめぐって

第2報告 高岡文章(立教大学) 観光における「自由」と「不自由」――ルート観光論2.0

第3報告・コーディネーター 越智正樹(琉球大学) 教育旅行民泊における平準化と個性維持――観光アクター間での価値規範の共創

討論者 徳野貞雄(トクノスクール・農村研究所) 野入直美(琉球大学


第76回西日本社会学会大会プログラムhttp://www2.lit.kyushu-u.ac.jp/~sociowest/img/news156.pdf




世界遺産まちづくりシンポジウムin荒尾

3月25日(日)に荒尾市の総合文化センターで「世界遺産まちづくりシンポジウムin荒尾」が開催されます。縁あって、コーディネーターを務めることになりました。時間と興味のある方はご参加ください。


シンポジウムのパンフレット(荒尾市のHP)
http://www.city.arao.lg.jp/q/aview/3/9101.html

『時間学の構築2』刊行しました

『時間学の構築?』が刊行されました。山口大学時間学研究所が開催した学際的セミナーをもとにつくられた本です。


物語と時間 (時間学の構築II)

物語と時間 (時間学の構築II)


本書のなかで、第7章「地域をつくる物語とその時間」を執筆しています。「物語と時間」を自分のテーマに引き付けて論じる、というのが発表者/執筆者に課せられたお題でしたので、近年、文化遺産や地域づくりの領域で「ストーリー」という言葉が盛んに用いられることに注目し、地域文化の現状を戦後日本の「中央と地方」の歴史的変遷という文脈に位置づけながら、「物語と時間」という観点から論じました。

(参考)文化遺産にかんして「ストーリー」が語られる例:文化庁HPの「日本遺産」についての説明
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/nihon_isan/


本書全体をつうじて、哲学・文学・美学などさまざまな分野から「物語と時間」について多角的に考察されています。機会があれば、ご笑覧ください。

熊本日日新聞「一筆」

今日から9月末まで毎週木曜日、熊本日日新聞の夕刊コラム「一筆」を担当することになりました。初回は自分の研究テーマである「記憶の社会学」がどんなものかについて書きました。機会があればご笑覧ください。

マクロン大統領の誕生

今回のフランス大統領選挙ほど、フランスのみならず、世界の関心を集めたことは、久しくなかっただろう。伝統的な二大政党(共和党社会党)に属さない二人の候補によって争われた今回の選挙では、対立軸は「右か左か」という従来の構図ではなく、EU残留か離脱か、グローバル化か自国第一か、にあった。昨年のイギリスの国民投票でのEU離脱決定、そしてアメリカ第一を掲げるトランプの大統領就任と共鳴するかのように、世界を席巻するポピュリズム・反グローバル化の風がフランスをも揺るがしてきた。その風を巻き起こしてきたのが、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペンである。もしもルペン大統領が誕生し、イギリスに続いてフランスがEUを離脱することになれば、それはすなわちEUの実質的な終わりを意味する可能性が高い。だから選挙報道もルペンを中心に展開してきた。しかし、EUの残留・改革を唱えるマクロン大統領の誕生により、その懸念は当面払拭された。


けれどもルペンが敗れても、ルペンを台頭させた根本的な原因はまだ何も解消されていない。イギリスでEU離脱の決定をもたらし、アメリカでトランプを大統領に押し上げたのと同じ要因が、フランスにも根深く広がっている。すなわち、グローバル化によって、自分たちの慎ましい生活さえも脅威に晒されていると感じている労働者や農民たちの不満や不安である。


今回のマクロンの勝利は、彼の理念や政策に希望や共感を抱いたからというよりも、今なおそれなりに強い国民戦線への警戒心のおかげと言えるだろう。2002年の大統領選挙で、ルペンの父ジャン≂マリー・ルペンが敗れた時と比べて、警戒心は下がってきているとはいえ、まだ全面的に消滅してもいない。グローバル化への不満と不安が緩和されなければ、警戒心はさらに低下し、五年後の大統領選挙で、ふたたびポピュリズムの嵐が吹き荒れるだろう。


マクロンEUに残留してその改革、とくにユーロ圏経済の改革を提唱している。鍵はメルケル独首相を説得できるかどうか。マクロンが提案するユーロ共同債に彼女は「自分が生きている限りはない」と述べたという。マクロンとしては、ルペンをダシにメルケルを説得するしかないだろう。もし自分の提案を受け入れなければ、ポピュリズムがさらに台頭し、5年後の選挙でルペンが勝つだろう。そうなればユーロもEUも終わってしまう、と。

『大学的熊本ガイド』

2014年前半から制作してきた本が、ようやく完成しました。制作途中で熊本地震が起きましたが、なんとか刊行に至ることができました。けっこうマニアックなテーマやユニークなテーマが並び、これまでの地域紹介本とは少し毛色の違うものになったのではないかと思います。本書を手に取って、まだ知らない熊本の街を発見していただければと思います。

大学的熊本ガイド: こだわりの歩き方

大学的熊本ガイド: こだわりの歩き方

P.S.
『大学的熊本ガイド』が熊本日日新聞(2017年4月12日)のコラム「新生面」で紹介されました。

http://kumanichi.com/sinseimen/201704/20170412001.xhtml

4月17日の熊日文化面でも紹介していただきました。ありがとうございます。