オランダ紀行(3) : 自転車を観察する

Yumat2010-08-30

オランダが自転車大国であるとは聞いていて、実際、人々はよく乗っていますが、しかしこの国の自転車はどうも日本のものと印象が違うようなので、図書館の開館を待つあいだ、少し観察をしてみました。


全体として言えるのは、古びた自転車が多いということ。雨が多く駐輪場が少ないせいなのか、それとも一台あたりの値段が高いから長く使うせいなのか、あちこち錆びていて、かなり年季の入ったものも少なくありません。


自転車にはほぼ100%、かごがついていません。ただしアムステルダムでは、前輪の前に荷車をつけて、そこに子供を載せている人をよく見かけました。


形態はさまざまですが、一番多いのはマウンテンバイクのタイプ。ただし、日本のマウンテンバイクの場合、ハンドルは横一直線ですが、こちらではマウンテンバイクのボディに、いわゆるママチャリのハンドルがついていることが多い。その結果、乗る人はそれほど前かがみになることなく運転できるので、みんな背筋をまっすぐに伸ばして、広い視野を保ちながら運転しています。


ブレーキがない自転車も多く、これでどうやって止まるのだろうと、たまたまブレーキのない自転車を運転していた若者に聞くと、ペダルを逆回転すると止まるとのこと。



この国では自転車は完全に車両扱いなので(日本でも道路交通法的にはそうですが)、バイクと同じ道を走り、右折の場合は右手を、左折の場合左手を横に伸ばして、自分の進路方向を周囲に示します。だから、ブレーキの機能をペダルにつけたほうが、手をハンドル操作と方向指示の作業に集中させられるということなのかもしれません。


環境にも家計にも優しいこの乗り物をオランダ人が好むのも、なんとなくうなずける気がします。他に比較的自転車が普及しているヨーロッパの国と言えば、知っている範囲ではドイツがあります。オランダ・ドイツとくると、前々回のブログで書いた「プロテスタンティズム」が頭をよぎりますが、果たしてカトリック圏ではどうでしょうか。そういえば、数年前にこのブログでも書いたとおり、フランスでもエコロジーの観点から公共自転車が導入されました。エコロジーは、宗派の違いを超えて、ヨーロッパに自転車を普及・定着させるでしょうか?



モニュメント「心臓を失った男」(ロッテルダム