ピエ・ノワール論出版されました

Yumat2009-10-03

二年以上前に書いたピエ・ノワールについての原稿がようやく出版されました。



ピエ・ノワールとは誰か?−フランスの植民地引揚者のアイデンティティ形成」(蘭信三編著『中国残留日本人という経験−「満州」と日本を問い続けて』勉誠出版http://www.bensey.co.jp/book/2158.html



ピエ・ノワール`Pieds noirs`とは、フランス語で「黒い足」という意味の言葉ですが、フランスの植民地だったアルジェリアの独立にともない、フランス本国に引揚げた人のことを指します。


フランスによるアルジェリアの植民地化の始まりが1830年、8年間の独立戦争―その間には映画にもなったアルジェの戦いもありました―を経て独立したのが1962年。実に約130年間もの間、植民地支配が続きました。だから「本国に引揚げる」といっても、数世代にわたってアルジェリアに生まれ育ち、本国をまったく知らない人も少なからずいました。さらには、アルジェリアのフランス人たちは、もともとはスペインやイタリアなど、他の国や地域から移住し、フランス国籍を獲得した人もかなりいました。そんな彼らにとって、「本国」に引揚げるとはどういう経験だったのか?この特異な経験をもつ彼らはどのように自分たちのアイデンティティを形成していったのか?というのが、主な内容です。