ブルカ問題part.2

Yumat2009-07-10

前回のエントリーで書いたブログ問題にかんして、その後フランスではいくつかの動きがありました。まずはサルコジ大統領。6月22日の議会でブルカは「宗教のシンボルではなく、女性の服従のシンボル」であり、ブルカはフランスでは「歓迎されない」と、全面的にブルカを否定する発言をしました。前回のエントリーでは、政府は問題を大きくすることを好まないだろうと書いたのですが、この予測は外れました。この発言を受けて、アルカイダマグレブ支部は「復讐」を表明しています。


もう一つの動きとしては、7月1日に議会でブルカについての情報委員会が設立されたことが挙げられます。32人の議員からなり、うち与党UMP17人、社会党11人、中道2人、共産党緑の党が2人、代表はこの問題の最初の提案者であるヴェニッシュー市長アンドレ・ゲラン。今後6ヶ月間、この問題を検討し、年末に報告書を提出する予定とのことです。


ちなみにこの問題を語るとき、ブルカとニカブをまとめて、`voile intégral`という言葉で呼ばれています。`intégral`は、ヘルメットにかんして言われる場合「フルフェースの」という意味があるので、ブルカの場合には「全身を完全に覆うスカーフ」を意味するのでしょうから、「完全スカーフ」あるいは「全身スカーフ」とでも訳せばいいでしょうか。


7月9日のル・モンドによれば、情報委員会に「イスラム教徒にしてフェミニスト」であると自認する宗教人類学者Dounia Bouzar氏が参考人として呼ばれたそうですが、そこで彼女は次のように語っています。


「もし社会が問題をこんなふうに扱うなら、深刻になることでしょう。イスラム教をスティグマ化し、差別を増大させることになるからです。イスラム教徒たちはイスラム教のシンボルとしてニカブを擁護しなければならないと感じるでしょう。」


まったくそのとおりです。具体的な弊害にもとづいてブルカの禁止あるいは制限を論じるならともかく、それをある文化、ある集団の否定的な本質的傾向を表すシンボルなどとして過剰に意味づけすることは、問題の解決をより困難にすることにしかならないでしょう。今後の情報委員会の動きが注目されます。