フランスの年金改革と大学改革

Yumat2007-10-19

今日はフランス名物のストがあり、地下鉄・トラム・バスなどが全て止まりました。ストをしたのは、公共交通機関労働組合。現政権が目指している年金改革に反対するためです。


フランスでは一般の勤め人が年金を受け取るためには40年間働き、税金を納め続けなければなりませんが、これとは別に「特別年金制度」というのがあり、一部公共部門(国鉄パリ交通公団、フランスガス、フランス電力など)に勤める人は、37,5年でいいのです。で、現内閣は、これを40年に引き上げようとしました。いわば、年金制度の一元化を目指したわけです。当然ながらこの制度の恩恵を受ける労働者たちはこの提案に反発し、今日のストに至りました。年金の一元化って、まったくどこかで聞いたような話です(年金制度の中身は違いますが)。



もう一つ、サルコジ政権のもとで行われている、デジャヴ感の漂う改革が大学改革です。大学の自律性と競争力を高めるという目標のもと、学長の運営上の権限を強化する、企業等からの大学への献金を促す等の改革案の方針が、今年の7月に示されました。


フランスと日本の大学改革の方向が似ているのも当たり前で、要するにどちらも自国の国立大学の制度をアメリカの大学制度に近づけることによって競争力を高め、世界的水準の大学をつくろうとしているわけです。日本の国立大学の独立法人化も、大学の自律性と競争力を高めるという目的でなされましたが、結果的には中期計画の作成や評価など、文科省の管理は強まり、自律性の向上という点では逆の結果になっているように思います。競争力が上がった(これから上がる)かどうかは分かりません。果たしてフランスはどうなるでしょうか。


しかし、フランスの大学改革が一点、日本の国立大の独立法人化と決定的に違うのは、この改革が、予算削減によってではなく、予算増額によってなされることです。政府は今後5年間で50億ユーロを新たに高等教育に費やすと表明しています。こういうことが可能なのも、日本ほど国家が借金を抱えていないからかもしれませんが、何ともうらやましい話です。日本の大学改革は、自律性と競争力の向上という大義名分のもと、歳出削減の手段にされてしまった感があります。予算削減のため、研究費が減って外部資金獲得のための労力が増え、教員数が減って授業負担が増え、職員が減って事務仕事が増え、という状況のなかで、競争力は高めましょうというのはかなり無茶な話だと思うのですが。


と、話がかなり逸れましたが、明日もストは続く可能性があるとか。明日は用事があるのでどうしよう…