7月13日:革命前夜祭

Yumat2007-07-14

明日7月14日はフランス革命記念日。今日13日は革命の象徴、バスティーユ広場で前夜祭がありました。何本もの道路が交差し、ふだんは多くの車が行き交うこの広場を車両全面通行禁止にし、一角にステージを設けて野外ライヴが行われました。たまにこういうライヴやデモなどで、(当局の許可を得たうえで)通りを封鎖したり占拠するかたちて行われることがあるのですが、そうするとその空間がふだんの光景とはまったく違ったふうに見えて、とても刺激的です。


今年はライヴ全体のコンセプトがアフリカ音楽だったようで、さなればまざまなアフリカ系ミュージシャンの演奏がありました。




主催者の発表では10万人集まったとか。そこまで多かったかはわかりませんが、たしかにすごい人口密度で、そんななかでみんな踊りまくっていました。強いてたとえれば、巨大な満員電車でみんなが踊るような状況に近いと言えるかもしれません。



明日14日(日本で言うところの「パリ祭」)の朝には軍事パレードがあり、サルコジ大統領が演説をします。いわば、14日が国家のプレゼンスが全面的に誇示されるのにたいし、前夜祭である13日は、アフリカ音楽に焦点を当てることによって、アフリカをはじめ、さまざまな地域にルーツを持つ人がいるフランス国民の統合を推進するイベントとしてあると言えるでしょう。もちろん統合といっても、みんなおとなしくまとまる、といったイメージとは違います。みんな自由に踊り、爆竹も鳴れば花火も飛ぶ(しかも至近距離で)。しかしこういう「集合的沸騰」(デュルケム)状態のなかで自由や平等といった革命の理念が賦活されるというのが、この国の一つの特徴だと言えます。デモなどでも時折このようなお祭りに近い状態になることがありますが、この国で自由や平等といった理念が抽象的で空々しいものではまったくなく、非常に具体的なものとして実感され、それらが実現されているかどうかについての個々人の意見はともかく、少なくともそれらを社会の基本的価値として認める点では誰もが一致するのは、学校で革命の歴史を教わり、自由や平等の哲学的意味を教わるからだけではなく、ライブやデモなど祝祭的な場でそれらの理念が身体化されることにも、少なからずよっているように思います。