ヴァンヴ蚤の市

Yumat2007-04-09

パリに来て一週間が経ちました。これから一年間の、フランスでの新生活の始まりです。


今までフランスには2〜3週間の短期滞在をしたことが4度あり、そのうち2度はパリにいたので、未知の世界に飛び込むというわけではありませんでした。そのせいもあって、出発前に期待と不安で胸が高鳴るということもあまりなく、ひたすら準備に追われ続ける(とくに書類関係…)という非ドラマチックな展開で迎えた新生活ですが、じっさいに住んでみると―と言っても住んだのはまだほんの数日ですが―違った面が見えてくることがあります。


たとえばこんなことがありました。昨日、ヴァンヴにある蚤の市に行きました。学生時代にクリニャンクールの蚤の市に行ったときは、好奇心だけで歩きまわっていたのですが、今日はむしろ生活用品の仕入れ目的で行きました。長期滞在すると、コップや皿、米を磨ぎ洗いするための穴あきボール、食器トレイなど、短期滞在の時にはまず要らなかった生活用品が、当然ながら必要になってくるのですが、こちらにはそういったものをすべて揃えているスーパーというのが、日本みたいにどこにでもあるわけではありません。街のスーパーには食料品や洗剤、石鹸など、消耗品しか置いていないところが大半で、調理器具や衣類などまで揃えたスーパーは限られてくるため生活用品を買い揃えるのも一苦労で、いっそ蚤の市のほうが、一つの場所にいろんなものが置かれているから、探しているものが見つかりやすいわけです。ただし蚤の市の場合、どこに何が置かれているかをすべて把握している人は誰もいないので、あるかどうかは運次第のところもあるのですが。


蚤の市といえば何かガラクタ市のようなイメージがあります。たしかに、ほとんどガラクタとしか思えないようなものも少なくありません。プラスティック製のキューピーのような人形の、首から下がなくなって頭の部分だけが残っているものに、ぼろきれでつくられた胴体を縫い合わせたものが29ユーロで売られているのを見たときにはとても本気で売ろうとしているようには思えませんでしたが、実用的なものも多くあって、地元の人たちもここに生活用品を仕入れに来ていることがわかります。じっさい、コップやスプーン、皿など、たいていの生活用品を、ここで見つけることができます。


もう一つ、気づいたことがありました。最初にヴァンヴに来たのが13時過ぎで、もうみんな店をたたみかけている頃だったのですが、蚤の市を一通り歩き終わった後、近くのグラウンドでヴェトナム人コミュニティの親睦サッカー大会があったのでしばらく見ていたのですが、そろそろ帰ろうとしてグラウンドを出たら、また新たに多くの店が立っていました。しかも午後の店はほぼ全て、アラブ・アフリカからの移民系の人々が開いています。午前中の店のなかで、それらの地域から来た人々の店は、ごく数えるほどしかありませんでした。この違いは何なのでしょうか?ショバ代の違いなのか、トラブルを避けるための棲み分けなのか?そういえば、ヴァンヴは、クリニャンクールやモントルイユなど他の蚤の市と同様、郊外にあります。


午後の市には骨董品やガラクタ品の類はあまりなく、衣類や電気製品など実用的なものが多く売られています。彼らが店舗で売っているものをそのまま持ってきたようで、ビニール袋に入れられた新品も多く、午前中の店の商品より質が良さそうに見えました。


蚤の市に午前と午後で二つの顔があるなんて、たぶん短期滞在中に来たかぎりではわからなかったことでしょう。蚤の市でそんなに長い時間を過ごすこともあまりないでしょうから。今日は生活用品の仕入れに行き、たまたま知ることができました。生活してみなければわからないことがあるということの、ささやかな一例です。


で、結局買ったのは、、穴つきボウルの代用品として、うどんやラーメンもすくえるような巨大茶こし(8ユーロ)。