アジアを運ぶLCC

Yumat2012-12-03

初めてLCCの飛行機に乗った。座席の狭さは聞きしに勝るものがあるけれども、それ以外で特に気になるところはない。スタッフは機内と地上のどちらも、数年前から先行して存在した某格安航空会社よりも良いし、便数が少ないためか、空港ロビーが乗客で混雑するようなことがなく、チェックイン等がスムーズにできる。たぶんLCCは定着してゆくのだろう。


この飛行機に乗った時、前の座席に若い女性二人組が座った。ふたりがしゃべる言葉から、中国か台湾の旅行者らしいことがわかった。出発前、そのうちの一人が窓の外のほうに顔を向け、両手を合わせて目を閉じ、声を出さずに口を動かしながら、熱心に何事かを祈り始めた。もちろん正確に何を祈っていたのかは分からないけれども、状況からして、おそらくはフライトの安全を祈っていたことは想像に難くない。


今まで国内線に何度も乗って、ついぞこのような光景は見たことがない。一度国際線で、目的地がどこだったか忘れたけれども、到着直後、ロシアの団体客がみんなで拍手をしたことがあった。今回の些細な出来事は、それ以来のことだった。髪を茶色に染めたごく普通の今風の若者だっただけに、手を合わせて旅の安全を祈る姿が新鮮に見えた。日本の同世代の若者で、そのようなことをする人がいるかどうかわからないけれども、少なくとも個人的にはそのような人を見たことがない。異文化との新鮮な出会いを感じた一コマだった。


そもそもJALANAといった大手の国内線で、欧米系以外の外国人旅行客をそう頻繁に見かけることがない。LCCは、価格の安さに加え、アジアとの豊富なネットワークにより、アジアのごく一般的な個人旅行者も気軽に日本にアクセスできるようになるのだろう。その意味で、LCCがアジアを運んでくるのかもしれない。