フランス都市暴動論の公刊

昨年の日仏社会学会シンポジウムでの報告原稿が公刊されました。


「社会運動から暴動へ−フランス郊外における集合行為の変容について」
『日仏社会学会年報』第19号、2009年
http://wwwsoc.nii.ac.jp/sjfs/gakkaishi.htm


フランスの都市暴動については、郊外の諸問題(失業、学業不振、住環境、差別 etc)から説明されるのが一般的ですが、それだけでは十分に説明したことにはなりません。なぜなら、後者は前者が出現し始めた1980年前後から一貫して存在していますが、前者が頻発するようになったのは90年代以降だからです。このズレを理解するためには、郊外における若者たちの集合行為の歴史に目を向ける必要があります。都市暴動という集合行為は、社会構造の孕む諸問題を背景としながらも、そこに還元されつくすものではなく、それを解く鍵は行為それ自体にあります。