ロッソ熊本vs横浜FCでカズを観た

Yumat2007-02-10

今日はKKウィングでロッソ熊本vs横浜FCの試合を観戦しました。今季からJ1に上がる横浜FCは、元横浜マリノスの久保や奥が加入してけっこう戦力アップしていますが、ロッソもけっして一方的に攻め込まれるような展開ではありませんでした。双方1点ずつ決めて一進一退の膠着状態が続いた後半15分ごろ、山口と交替でカズが登場。すでに久保はいなかったんですけど、カズは左サイドに入りました。今季はずっとこのポジションで行くんでしょうか。


カズは少なめの動きながら要所々々に顔を出していましたが、得点には至らず、1対1のままロスタイムも終わって試合終了かと思われたとき、コーナーキックになりました。ゆっくりと上がったボールをカズがヘディングし、ゴール!!そしてそのまま試合終了。



京都にいた頃、実家の近くにパープルサンガの練習場があったので、何回か観に行ったことがあるんですが、ちょうどその頃カズがサンガにいました。彼は練習が終わった後、サインを求めるファン一人ひとりにサインをしていました。けっこうな数の人がサインを求めて並んでいたのですが、彼は練習で疲れているだろうにもかかわらず、最後まで丁寧に書いていました。また、その頃サッカー雑誌で、練習場で漫画を読む選手たちを「プロのすることじゃない」として批判する発言をしたことも知りました。それまでの彼に抱いていた派手なイメージにそぐわない、プロとしてサッカーに取りくむストイックで真摯な姿勢を知り、意外に思ったものでした。


90年代前半までの華々しい活躍に較べて、90年代後半以降は所属チームからの二度の「ゼロ円更改」(そのうちの一度はサンガから)、98年ワールドカップ・フランス大会直前でのメンバー落選、ヴィッセル神戸でのキャプテン剥奪など、不幸な話が目立つようになります。また最近では、40歳というサッカー選手としては超高齢になっても現役プレーヤーであることにこだわる彼に、しばしばインタビューなどで引退の話が向けられます。おそらく、「なぜ早く引退しないのか?引退して指導者になるもよし、彼ほどの人気と知名度があるのならテレビで活躍するもよし、いずれにしても若い選手と同じようには動けないのだし、いつかは引退の日が来るのだから、“次”を考えた方がいいのでは?」と思う人も少なくないでしょう。


でも、どれほどチームを変わろうと、どれほど辛い経験をしようと、どれほど引退を囁かれようと、サッカーにたいする真摯な姿勢を貫く姿には、率直に心打たれるものがあります。「Jリーグ草創期の立役者」「ドーハの悲劇の主人公」として日本のサッカー史に名を残す過去のカズも素晴らしいし、知名度とキャラクターを活かしてメディアで活躍する(であろう)未来のカズも悪くない。でもそれ以上に、40歳という年齢でもはや限りなく可能性ゼロに近い日本代表選出およびワールドカップ出場を夢見て、日々の練習と試合にストイックに取りくみ、ひたすらボールを追い続ける現在のカズのほうが、はるかに格好いいと思うのです。後年のサッカー史に残ることもないだろうそんな彼の一側面を目に焼き付けることができて、今日は良い一日でした。