大統領選挙(第一次投票)

Yumat2007-04-22

大統領選挙の第一次投票が終りました。


投票率は70パーセントを超え、前回を大幅に上回ったようです。23時現在の開票速報では、サルコジ30、8%、ロワイヤル25、2%、バイルー19%、ルペン10,8%。


今回は、右のサルコジ(民衆運動連合)が新自由主義路線で左のロワイヤル(社会党)が雇用、福祉、教育、環境の重視という、左右両政党の政策の対比も明快だったし、双方のパーソナリティの違いも明快だったことが、関心の高さの基本的な要因としてあったのでしょう。そしてこの二人が残ったという結果自体は、大方の予想どおりでした。


今回の驚きの一つは、バイルーが19%も獲得したことです。彼は少数派保守政党「フランス民主連合」の党首で、選挙戦中盤から支持率を伸ばしはじめ、一時期はロワイヤルに並ぶほどでしたが、終盤戦の頃には支持率が落ち込みつつありました。それが最終的には19%。選挙後の演説を見るかぎり、この結果に本人もかなり満足だったようです。


バイルーは左右の大政党に属さないことをもって、既成政党の利権の構図とは無縁の独立した存在であること、それゆえに真の改革が可能であること、左右どちらにも傾かない中道であること、それゆえに特定の利害ではなくフランス全体の利害を考えて政治を行えること、を訴え、左右二大政党制に飽き足らない人たちのあいだに支持を伸ばしてきました。そして結果的に18%の票を獲得しました。


サルコジとロワイヤルが二次投票に進むという結果からすれば、二大政党制はまだまだ健在と言えるかもしれません。しかしそれは、左翼候補者の乱立がジョスパンの敗北とルペンの躍進を招いた前回の経験から、左翼政党支持層が意識的に社会党を選んだ結果であるかもしれません。その証拠に、もう一つの主要左翼政党、共産党は得票率を2%まで下げ、他の左翼系候補者のうちではブザンスノの4%が最高で、あとはジョゼ・ボベも含めて全員1%前後でした。ジョゼ・ボベなどはすでに昨日の段階で二次投票では社会党を支持すると表明していました。


ルペン票11%の多くはサルコジに流れるでしょうから、ロワイヤルが二次投票でサルコジを逆転するためには左翼票を結集したうえでバイルー票19%を取り込まないといけませんが、あまり露骨に中道路線にすり寄ると、従来の左翼路線支持層の不満が高まることになります。決選投票まで二週間と少しのあいだ、ロワイヤルはどのような舵取りをするでしょうか。